中部地区唯一ギターアンプ修理の専門店です    ㈱中部電子楽器

2023/12/17更新

 
Factory service report


 修理工房で行った外装修理などの事例をご紹介しています。修理品は個人の所有物であり個人情報取り扱い上の理由により価格や日付、所有者の情報は掲載しておりません。
また、修理情報についても最新のものではありませんので同じ内容の修理であっても工程や仕上げはその時によって変わります。ここに紹介しているものはごく一例です。
外装修理に関するお問い合わせ
 MATCHLESS DC-30
修理依頼:外装張り替え LUNASEA の INORAN氏が昔使用していた蛇柄のDC-30に出来る限り近いニュアンスにしたい。
元々はグレーの物でした。蛇柄(スネークスキン)のレザーは当社にも在庫があったのですが、INORAN氏の使用していたDC-30(当時2台並べてMesaBoogie12”x4キャビネットの上に積んであった)写真を拝見したところ、柄の色の違うということで幾つかのサンプルを取り寄せして同じ様な物を探しました。一番近かったのはパイソン柄のYELLOWでした。



  ←元のグレーの時
先ずはサンプル生地を使ってバックパネルを張り替えしました。
スピーカーやコーナー、ハンドル、エンブレムなどのパーツを外します。
MATCHLESSの元のレザーは多数のタッカーで渕止めされていました。しかしドクターミュージックは違います。レザーを貼るのにタッカーは打ちません。接合部分も上から接着剤を塗ったりしません。

レザーを張り替えた後も継ぎ目や切り替えしは見えない様に処理します。
パイソン柄は大きな模様なので張り合わせや角、渕の柄目を揃えるのが難しいです。
天板の裏側はシールドシートを貼り直しました。ここもタッカーは使いません。
エンブレム、バックライトユニット、スピーカーを取り付けていきます。

フロントパネルの折り返し部分の切り込みもドクターミュージックの場合は切りません。

組み上がったらアンプの音出し確認とキャビネットのビリツキが出ていないか音量を上げてテストします。


随分見た目の雰囲気も変わりましたが、めちゃくちゃカッコよくなりました。
ドクターミュージックは外装張り替えも得意とする技術です。
貴方のアンプも外装を変えてみませんか? 世界に一つだけのオリジナルアンプになりますよ。
ご相談お待ちしてます。

Mesa/Boogie
修理依頼: 搬送時の事故により左上角のキャビネット接合部分剥離
お預かりした時は既に天板と側板の接合部分が完全に剥がれた状態でした。

接合部分の接着とパテ埋め、天面から側板の方へ補強用のネジ45mm長を4本埋め込みます。表面は黒色のスクラブ塗装でしたので下地の上にスクラブを塗って乾いてから周辺と色合わせ修正をしました。塗装仕上げのボディを修復するのはかなり難しい作業になります。

同じ修復でも外装がレザー張りの方が接合部分の跡も見えなくなるので仕上げは楽です。
ボディ全体のスクラブ塗装を全て削って剥がします。表面を研磨して新しいレザーを張ります。
傾斜・ラウンド・折り込み部分の処理は高度な技を必要とします。生産時に吹き付け塗装された接着剤は湿気により浮いたり剥がれやすくなりますので張替えの時は綺麗に剥離する必要があります。

このレザーはFender '63 Brown Tolexです。

Fender TwinReverb
修理依頼: 全体的なメンテナンス ノイズや接触不良が多くサランネットも破れの為張替希望。
お預かりした時は音が殆ど出ない状態でした。まず外装から庫内のリバーブユニットとスピーカーを外してクリーニングします。アンプユニットを取り出してツマミやパネルをクリーニングします。
内部は電源コードの交換、INPUTとSPEAKER OUT、REVERB IN/OUT,F/SWのジャックを交換。
配線ボードの絶縁処理と漏電しやすいポイントの配線を絶縁処理します。
電解コンデンサは液漏れしていて、容量が抜けた状態になっていました。
真空管はすべて交換してバイアス調整をしました。

    
スピーカーの配線も張替てきれいになりました。
ノイズもなくなりクリアな音量が出るようになりました。サランネットも70年代中期のデザインと似たもので枠木も新しく制作して取付ました。


 PETERSON P-100G
症状: 外装破損個所の修復
PETERSON P-100Gは木製の外装にマットフィニッシュの塗装が施されています。
写真は背面左角を砕損しています。欠損した部分は破片を取り除いて木の繊維に沿って少し削ります。元の形に合わせて木パテと接着剤を混ぜた物を塗ります。


接着部分が乾いてから形成処理をして周辺の木目と合わせて着色します。木目を描いてコーティング剤を塗り光沢の具合を合わせます。


ポイント:Fender系のアンプの様なトーレックス(カバリング・クロス)を張るものと違い、木の素材を修復する為表面の塗装処理が難しく破損の状況によっては一部分を作り変える必要があります。


Fender PRINCETON"5F2A"
修理依頼: 完全レストア、外装とアンプ全ての新品再生
まずは入荷時の写真をご覧ください。50年代のかなりのビンテージ感があります。
勿論この状態で販売されてもかなり高価な査定が付くと思います。
このアンプをピッカピカの新品?同様にします。
「本心はこういう事をしてみたかったので。」

アンプシャーシを取り外してシャーシと配線ボードを発注しました。既存させる部品は電源トランスと出力トランス、フィルターコンデンサ等一部の部品だけ。殆ど新品になります。

シャーシは5F2A用にホールカットされ印刷が入ったメッキシャーシをオーダー。
フレットボードは防湿処理(絶縁加工)を施して使用します。

配線材も全て新しいもので配線します。スピーカーはユーザー様から用意して頂いた純正品の同型を取り付けします。

外装はまずツイードとバッフルボードのグリルネットを外します。

全部剥がして金具やハンドルも全て外すとこんな感じになります。右の写真はバッフルボードを
補強して表面塗装処理をしたところです。剥がしたままの外装は接着剤が残っていたり木の繊維が痩せて凹凸がでてしまっていますので表面をバフ処理・目止め処理をします。これにサランネットとツイードクロスを張っていきます。
  
グリルクロスはOxblodタイプのストライプ入りを使用します。
ツイードクロスはWovenTweeedを使用しますが、張り終わってからギターのネック塗装に使われるVintageYellowのラッカー塗装を施します。これで外観は販売当時の様な艶のあるツイード顔になります。


ハンドル、ネジ、メタルレッグも全て新品になりました。


Fender Twin-Amp"6G8"
修理依頼: 完全レストア、外装とアンプ全ての新品再生
これもかなりレアなモデルですが、Princeton同様にピカピカの新品を目指します。
まずアンプユニットとスピーカーを外してバッフルボードのグリルネットと外装の金具を全て外します。レザーも剥がして接着剤の残りや朽ちている所をバフ処理・目止め補修しておきます。フロントバッフルは表面塗装処理をします。コーナー金具やネジ穴も広がっていますので一度埋め直しします。
  
グリルクロスは1962年製のTwin-Ampの場合ストライプの内ブラウンの物を使用します。
レザーも市販の物は表面のしわが違う物や色が薄い物もありますので元物と色を合わせるのが難しいです。
 
   
外装の張替が終わったらアンプユニットの修復進めます。シャーシは海外の工房へオーダーメイドの見積りをしてみたところプレス機の形取りとプログラムで最低発注数25PCでしたので、コストがかかりすぎる為今回はシャーシを再利用することにしました。錆び取り・研磨・板金修復をしてシルバーメッキ塗装をしました。
 
なかなかいい仕上がりでした。電源トランス・チョークトランス・出力トランスはオリジナル部品として残すためカバーをリフィニッシュしました。フロントのネームパネルもFender®のパテントの関係でコピーを作ることは出来ませんので汚れや凹みを補修して使用しました。
 
ここからが大変な配線作業になります。タレットボードももちろん新品です。ソケットも配線材も新品になります。元の部品配列と配線を事前に記録しておき、それを元に配線しています。

配線が全て終わると結線箇所の最終チェックと無負荷・真空管無しの状態で各電源の配電チェック・漏電試験・絶縁耐力検査を行います。安全に各回路へ配電されているか、感電や漏電は無いかを確認します。

これで真空管を取り付けて動作テストと各機能の動作確認、バイアス調整をします。
※トレモロの効果については部品の精度や絶縁性、配電効率が良くなるので元の定数ではうまく動作しませので再度調節しなければなりません。


今回ユーザー様のご希望によりスピーカーはCELESTION G12Alnico-Blueを取り付けしましたが、フェライトタイプのスピーカーでもクリアでとても艶のあるクリーントーンが出ていました。

外装修理に関するお問い合わせ

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ドクターMusic
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〒463-0025
名古屋市守山区元郷1丁目1407
TEL.052-739-6412
FAX.052-739-6413


修理工房トリビア
* 日本製のアンプにはJIS規格の部品が使われている場合が多く海外製品とサイズや定数の互換が無いものがたくさんあります。
スピーカーの場合
日本製: 30cm USA:12"
12"=30.48cm
マウントするネジの位置やキャビネットのホールの径も日本製の方が少し小さいです。


*真空管の互換について
一部の主な種類について動作特性と増幅率の互換品を紹介します。
一般的によく聞かれるのは表記の違いについてのお問合せが多いです。
プリ管(9pin双三極管)
12AX7と同じ規格・類似品
ECC83, E83CC, 7025, CV4004
12AX7より少し増幅率が少ない物
5751
12AT7と同じ規格・類似品
ECC81,6201,CV4024

パワー管(4極・5極増幅管)
6L6GCタイプと互換・類似品
5881, 7581
※KT66は動作条件が酷似していますが増幅率や消費効率が違います。
EL34タイプと互換・類似品
6CA7, KT77, E34L
EL84との互換品は6BQ5です。

その他の真空管の表記について
EL...やKT..は元々ヨーロッパで製造されていた真空管の表記です。
英国軍用の製品にはCV...という表記もありました。
アメリカの真空管についてはRCAが規格化した物が多く
12AX7や6L6GCなどはそれにあたります。工業用・アメリカ軍事用・通信計測器用なとに製造されていた物には、7025や6189などのように4桁の数字記の物が多いです。
現在生産されているロシアや中国製の殆どがこの規格に合わせた表記をしています。スロバキアのJ/J社は古いヨーロッパ規格の真空管を再生産しています。

ブランド名と製造会社は別??
ご存知の方も多いと思います。
"VOX"は元々イギリスのブランドですが生産しているのは日本の会社"KORG"です。工場は中国です。
"SWR"は現在Fender社が・・・。
"Hartke"はイギリス? 韓国の"SAMSON"で生産しています。
海外ではブランド名(商標権・PATENT)は会社の経営が危うくなると売買される事がよくあります。また商標権の持ち主と会社が分裂して経営会社が変わる場合もよくあります。
例えばVHTの本家はFRYETTEですがVHTも別の会社で生産しています。